北海道には、生産数がわずかでなかなか味わえないもの、特定の地域・お店でしか味わえないもの、特定の季節しか味わえないものなど、まだまだ知られざる魅力的な食材があります。そして、その食材の背景には、情熱をもって育てている生産者がいます。
このプロジェクトは、そんな北海道の知られざる食材を”深耕”し、その食材を通して人と人との“親交”を生み出し、北海道とその地域、そして食の魅力で地域の“振興”につなげたい
という思いから始まった、大丸札幌店、O.tone(あるた出版)、RETRIP(trippiece)、ジェイアール東日本企画、poroco(えんれいしゃ)による地域振興を目的とした合同プロジェクトです。
第三回目は、浦河町の夏イチゴ『すずあかね』を紹介します。
本州でイチゴの収穫がない6〜11月に、北海道で旬を迎える夏イチゴ。中でもさわやかな酸味と甘さのバランスがよい品種『すずあかね』は、しっかりとした果肉と美しい円錐型が特徴です。夏でも冷涼で、日照時間が長い浦河町はその生産量日本一。ジャムやアイスクリーム、ケーキなど、多彩な加工品も人気です。
浦河町の加藤農園で夏イチゴ『すずあかね』を育てながら「北海道ストロベリープロモーション株式会社」を立ち上げ『すずあかね』の有効活用に尽力する加藤純さんにお話を伺いました。
8年ほど前に神奈川県から浦河町へ移住し、イチゴ農家として活躍している加藤純さん。それまでは横浜で証券会社のサラリーマンとして勤めながら「40歳を過ぎたら、北海道で農業がしたい」という夢を漠然と抱いていたそう。
そんな折、関東圏で開催されている移住イベントや就農イベントで浦河町が夏イチゴの収穫量で全国一であることを知り〝浦河町″と〝夏イチゴ農家″に興味を持ち、浦河町の移住体験に参加を決めます。
移住体験では、夏いちご農家さんや地域のお店などを巡り、その後、家族全員で浦河町へ移住。
移住後はまず、指導農業士として、積極的に若い研修生を受け入れていた菅農園の菅さんのもと、夏イチゴ『すずあかね』の生産や農業のノウハウについて学び、2年後、ついに新規就農を果たします。
加藤さんが自身で夏イチゴ『すずあかね』の出荷をするようになってから知ったのは、規格外になったイチゴは農家にとって二束三文で売られてしまうか、廃棄されてしまうという事実でした。収穫量は例年約4〜5トンですが、浦河町の選果基準は特に厳しくて、そのうち約3割もの大量のイチゴが規格外となってしまいます。
企画基準が厳しいのは、ブランドのランクを保つために、出荷先からの信頼を保つために仕方のないこと。
でも、規格外のイチゴも美味しさはまったく一緒。
そこで規格外の夏イチゴ『すずあかね』にも新たな付加価値を見出し、消費者にもっとよろこんでもらえる商品や企画ができないだろうかという思いを強くしていきます。
そこで始めた会社が「北海道ストロベリープロモーション」です。代表的な商品は規格外になってしまった『すずあかね』を、なんと55%も使用した「夏いちごアイス」。大量のイチゴと道内各地の牧場のミルクで作ったアイスクリームは、さわやかなイチゴの酸味と強い風味が際立つ贅沢な美味しさ。たちまち話題になり、贈答品としても人気を集めています。また、パック売りがイチゴ販売の標準であることにも疑問を持ち、ヨーロッパのマルシェのように量り売りする「いちごワゴン」を道の駅などで実施。こちらも好評だったそう。
「今でも“北海道でイチゴ栽培をしている”と伝えると驚かれます。道産なのに北海道では流通量が少なく、あまり知られていないことが悔しい」と加藤さん。今後は、消費者はもちろん、企業に向けても夏イチゴ『すずあかね』の美味しさや、浦河町が一大生産地であることを広めていくのが課題だといいます。さらには自分たちのように新しく“農業をやってみたい”と、北海道を選んだ都会の人たちをバックアップし、サポートできるような農業生産法人の立ち上げも構想しているそう。
今年からは試験的に完熟したイチゴの生産もスタート。通常、浦河町から東京に届くまで3日かかるため、赤くなる前に収穫・出荷しなければなりません。そこで考えたのが、より甘さや風味が凝縮された完熟イチゴで作る、地元のパン屋さんとのコラボパンの販売です。「これからも『ethical strawberry』という考えのもと、いろんな商品を開発しながら広く『すずあかね』知ってもらえるきっかけになればと思います」と話ししてくれました。
北海道ストロベリープロモーションについてはコチラ
夏イチゴアイスの通信販売
北海道ストロベリープロモーションのホームページより購入できます。
https://stpro.jp/category/item/
浦河町「ぱんぱかぱん」
浦河町出身の以西明美さんが営むパン屋さん。
北海道産の小麦や、旬の野菜など原材料は全て地元北海道の食材を使用し、
自然本来のおいしさがあふれるパンで人気。町内外から足しげく通うファンも多い。
今年から浦河町夏いちご「すずあかね」の完熟イチゴを使ったコラボパンを発売予定。
住所 北海道浦河郡浦河町堺町東1-1-1
電話 0146-22-4595
営業 10:00~18:30
休 日・月曜
P 約 10台
https://panpakapan.org/
今回の記事はporocoスタッフMHが担当しました。
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